フォークリフトの労災事故
フォークリフトとは
フォークリフトとは、油圧を利用して昇降・傾斜ができる荷役自動車で、
フォーク(貨物を運ぶための爪)を前面に備えています。
倉庫作業などで広く一般的に使用されている車両であり、見慣れている方も多いでしょう。様々な作業現場において、
荷物を運搬するのに欠かせない車両であるということができます。
特徴と事故の危険性
フォークリフトの主な用途は、車体前方のフォークを荷物の下部やパレットに差し込んで持ち上げることによる運搬です。
重い荷物でも持ち上げた状態で走行できるため、重い荷物を効率的に短時間で運搬することができます。
また、マスト(支柱)を伸ばすとフォークを上昇させられるので、車体の高さよりも高い場所に荷物を移動させられます。
他方で、フォークリフトは普通自動車とは異なり、後ろのタイヤでかじを取る仕組みになっています。
走行中に曲がると車両の後部が外側に大きく振られるので、カーブする際は後部の接触に注意しなければなりません。
また、フォークリフトは、荷物積載時には運転者の前に荷物がありますから視界が確保できません。
そのため、バックで走行しなければならないこともあります。慣れない初心者では、事故の危険性があります。
さらには、荷物を積載して移動するので、荷積時作業時の荷崩れの危険や、車両の横転事故にも気をつけなければなりません。
法令上の規制
労働安全衛生法令上、フォークリフトは「車両系荷役運搬機械」の一つとして
定義されており(労働安全衛生規則151条の2)、作業計画の策定、作業指揮者の指定、接触防止、立入禁止、
用途外使用の禁止、運転資格の定めなど各種の規制があります。これらはいずれも労災事故の発生を防止するための規制です。
フォークリフト事故の発生と労災保険、損害賠償請求
フォークリフトによる労災事故が発生し、負傷してしまった場合、業務上の災害ですから、
原因がどうであれ、労災保険の適用対象となり、労災保険から治療費や休業補償の給付が受けられ、
後遺障害が残った場合には障害等級に応じた年金や一時金の給付が受けられます。
しかし、労災保険からはケガや障害の慰謝料支払は一切なく、100%の休業損害や、
障害による将来の収入減少の十分な支払も受けられません。
ただ、他の従業員のミス(過失)による事故であったり、事故の原因が会社の安全対策の不備や、
安全教育の不足に起因する場合、会社は、被災労働者に対する損害賠償責任を負いますので、
被災労働者は会社に請求することで、慰謝料等を受けられます。
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他従業員のフォークリフト運転ミスによる轢かれ事故、巻き込まれ事故、荷崩れ事故の場合や、
フォークリフト運転資格がないにもかかわらず運転させていた場合などには、損害賠償請求できるのは比較的明瞭です。
その他にどのような場合に会社の責任が肯定されるかは、様々な場合があり、一概にいうことは難しいですが、
例えば、事故が起きてもおかしくない危険な作業方法だった、以前から危ないと指摘されていたのに改善措置がなされていなかった、法令上要求される措置(接触防止、作業計画の策定、作業指揮者の指定)がとられていなかった、
新人従業員に十分な教育がないまま作業に従事させていた場合などが考えられます。
また、時折みられる事故として、フォークリフトの用途外使用の場合があります。
フォークやパレット上に人を載せて高所に人を移動させるような場合です。
これは明確な用途外使用であり法令で禁止されていますが、便利だからという理由で、
このように用いられていることがあります。この場合、用途外使用を指示・黙認していた会社の責任は肯定されます。
フォークリフト労災事故の解決事例
当事務所の解決事例の中にもフォークリフト事故事例がありますので、ご参考になさっていただくのもよいでしょう。
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以上、フォークリフトによる労働災害について、ご説明をしてきました。
事故に遭ってしまった方は、ご参考にしていただければ幸いです。
労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
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