解体工事現場でショベルが弾き飛ばした単管鉄パイプが直撃し負傷、当初14級の障害認定が労災審査請求(障害等級不服申立て)で12級が認定された例

事故内容

依頼者(50代男性)は建築解体工事に従事していましたが、作業後に後片付けをしていたところ、背中の上くらいに後方から飛んできた単管鉄パイプの直撃を受けました。離れた箇所でバックホーを操作していた者が荒い運転で鉄パイプを弾き飛ばしたものでした。

当初の労災隠し

労災事故が起きたものの、会社は依頼者が速やかに病院に行くのを阻み、かつ病院受診に際しても、労災とせず、私病とするよう強要しました(治療費を実費として持たせて病院に行かせました。)。

その後に労災扱いとした際にも、本来の事故態様を秘して、自社の資材置き場で転んで怪我をしたことにしろ、と命じ、管轄労基署に対しても、虚偽内容の労災事故報告を提出しました。

そのせいもあってか、依頼者は病院でも「自分で転んだだけなのだから大したことないでしょ」といった対応を受けてしまっていました。

その後、事故約8か月後に依頼者の症状は固定となりました。

依頼の経緯

依頼者は会社が虚偽態様の事故報告をしている点などに不信感を抱いており、今後の損害賠償の点なども含めて、当事務所にご相談、ご依頼をされました。

当初の障害等級認定と不服申立て、原処分取消し

依頼者は、症状固定に伴って主治医に作成してもらった障害の診断書を管轄労基署に提出し、障害申請をしました。障害認定の際には、労基署の担当官との面談がありますが、その際に依頼者は会社の労災事故報告は虚偽態様であること(一種の労災隠し)を申告しました。

その後、依頼者の痛みなどの神経症状について、等級14級の9に該当するとの通知が労基署から届きました。

ただし、依頼者としては、痛みなどの症状がより上位の神経症状(12級の12)にあたるのではないかと不満であったため、労働局(労基署の所属する行政庁)に審査請求(不服申立てのこと)をすることにしました。

不服申立てに際しては、原処分(管轄労基署の下した処分)の詳細理由等が記載された資料等を「保有個人情報開示請求」により取得し、治療した病院のカルテ等も取り付けて、これをよく検討し、かつ依頼者の症状の詳細や労務への影響についての詳細な陳述書を作成しました。

審査請求手続では審査官が審査請求人(依頼者)と面接し、事情聴取が行われます。依頼者の代理人である私(弁護士)も依頼者と共に面談に臨みました。

面談後も補充の証拠資料などを提出し、審査結果を待ちました。

結果

審査請求では、結論が出るまで相当長期間を要します。本件でも申立てから結果が出るまでに約5か月かかりました。

もっとも、結果は上首尾で、「原処分を取り消す」となり、より上位の障害等級(12級の12)が認められました。

障害等級が認められるか否かで、労災保険からの障害一時金の給付が出るかどうかの違いもありますが(14級では56日分、12級では156日分)、何よりもその後の勤務先会社に対する損害賠償請求額が格段に変わるのです。2~3倍以上の差が出ることが多いのです。

 

12級の障害等級となったため、その後、依頼者は会社に対して、損害賠償請求を行うことになりました。

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