解体工事現場でショベルが弾き飛ばした単管鉄パイプが直撃し負傷、労災審査請求(障害等級不服申立て)で12級の認定を得て、会社への訴訟で約900万円の賠償金を得た例

事故内容

依頼者(50代男性)は建築解体工事に従事していましたが、作業後に後片付けをしていたところ、背中の上くらいに後方から飛んできた単管鉄パイプの直撃を受けました。離れた箇所でバックホーを操作していた者が荒い運転で鉄パイプを弾き飛ばしたものでした。

当初の労災隠し

労災事故が起きたものの、会社は依頼者が速やかに病院に行くのを阻み、かつ病院受診に際しても、労災とせず、私病とするよう強要しました(治療費を実費として持たせて病院に行かせました。)。

その後に労災扱いとした際にも、本来の事故態様を秘して、自社の資材置き場で転んで怪我をしたことにしろ、と命じ、管轄労基署に対しても、虚偽内容の労災事故報告を提出しました。

そのせいもあってか、依頼者は病院でも「自分で転んだだけなのだから大したことないでしょ」といった対応を受けてしまっていました。

その後、事故約8か月後に依頼者の症状は固定となりました。

依頼の経緯

依頼者は会社が虚偽態様の事故報告をしている点などに不信感を抱いており、今後の損害賠償の点なども含めて、当事務所にご相談、ご依頼をされました。

当初の障害等級認定と不服申立て、原処分取消し

依頼者は、症状固定に伴って主治医に作成してもらった障害の診断書を管轄労基署に提出し、障害申請をしました。障害認定の際には、労基署の担当官との面談がありますが、その際に依頼者は会社の労災事故報告は虚偽態様であること(一種の労災隠し)を申告しました。

その後、労基署からは神経症状で14級の9の認定がなされましたが、これに不服申立て(労災審査請求)をしたところ、首尾よく、より上位の神経症状(12級の12)が認定されました。

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会社への賠償請求

12級の障害等級となったため、その後、会社に対して、損害賠償請求を行いました。損害賠償の内容は、通院慰謝料、休業損害、後遺障害による逸失利益、後遺障害慰謝料等です。

そうしたところ、会社にも代理人弁護士がつき、交渉となりましたが、会社は事故態様について、「バックホーから弾き飛ばされた鉄パイプが依頼者に直撃した」のではなく、「依頼者が自らバックホーの周り(危険区域)に入ったため、バックホーが掴んでいた鉄パイプが依頼者に当たった」のであり、依頼者にも大きな過失があるなどと主張してきました。

依頼者からすると、会社の主張は真っ赤なウソであり、折り合いがつかず交渉は決裂しました。

そこで、裁判所への訴訟提起としました。

訴訟では、事故態様についてシビアに争われましたが、当方は徹底的に立証した結果、裁判所から示された和解案は、当方主張の事故態様を全面的に受け入れるものであり(当然ながら依頼者の過失はゼロ)、損害も12級の障害等級を前提とした金額でした。

会社側も裁判所和解案を受け入れたため、和解成立となりました。

結果

これまでの労災保険からの給付(約200万円)とは別に会社が約900万円を支払うという形で和解となりました。

当方にとっては、全面勝訴といってよい内容であり大変満足いく結果となりました。依頼者にとっては会社のウソがすべて排斥されたことにも大きな意義があったと思われます。

損害額については、本件の場合、会社への損害賠償請求の前に、審査請求(不服申立て)によって、上位の障害等級(12級)を勝ち取ったことが最大のポイントであったと思われます。14級と12級では、賠償額に2~3倍以上の差が出ることが多いのです。

 

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