日本の畜産業における労働災害

畜産業は私たちの食生活に欠かせない産業ですが、その裏側では労働災害が問題となっています。この記事では、その実態と具体的なケース、そして、労災被害に遭ってしまった場合、どうすべきかについて解説します。

畜産業における労働災害の発生状況

畜産業は、動物(家畜)を相手にすることのほか、重機等の操作も多いため、労働災害が発生しやすい環境にあります。
また、北海道内における畜産業における労働災害(休業4日以上)は、
ここ10年で約1.5倍に増加しています(2013年と2022年の比較)。
そのため、事故を防ぐための対策が求められます。

具体的な労働災害のケース

⑴ 動物(家畜)による事故

牛や馬、豚など家畜の動きによって、はさまれる、激突される、蹴られる等してケガをしてしまう事故です。
驚かせて不意の動きを招いてしまわないよう、動物に近づく際には声掛けや接触で合図を行うことが重要です。また、気性が荒い牛や馬もいますから、ロープなどの用具を用いて動きを制限するなど安全対策が必要となることもあります。

⑵ 機械による事故

機械のコンベアやローラー部分に手指が挟まれたり巻き込まれるなど、機械操作中の事故、
トラクターやショベル等の重機操作中の事故です。
適切で安全な方法で作業しているか、危険部分には覆いや囲いがあるか、異物を取り除いたり点検作業の際には機械を止めて作業しているかなどが事故防止のために重要な観点です。
また、トラクターやショベル等の車両系建設機械等は、技能講習や特別教育等を修了した者でなければ運転できません。
公道を走行する免許(大型特殊免許等)だけでは作業できません。
しかし、事実上、無資格で運転作業をさせる職場もみられます。

⑶ 特に経験の浅い労働者が被災する事故

全体では5年未満の経験の労働者が事故被害の約6割を占めており、
そのうち約半分は経験1年未満の労働者が被災する事故となっています。

会社に責任があるケース(損害賠償請求ができるケース)

労働災害が発生した場合、業務上の災害ですから、原因がどうであれ、労災保険の適用対象となり、労災保険から治療費や休業補償の給付が受けられ、後遺障害が残った場合には障害等級に応じた年金や一時金の給付が受けられます。
しかし、労災保険からはケガや障害の慰謝料支払は一切なく、100%の休業損害や、
障害による将来の収入減少の十分な支払も受けられません。

ただ、事故の原因が会社の安全対策の不備や、安全教育の不足に起因する場合、他の従業員のミスによる場合などには、会社(事業主)は、被災労働者に対する損害賠償責任を負いますので、被災労働者は会社(事業主)に請求することで、慰謝料等を受けられます。
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どのような場合に会社の責任が肯定されるかは、様々な場合があり、一概にいうことは難しいですが、
例えば、事故が起きてもおかしくない危険な作業方法だった、
以前から危ないと指摘されていたのに改善措置がなされていなかった、
法令上要求される安全措置(機械など)がとられていなかった、
新人従業員に十分な教育がないまま作業に従事させていた場合などが考えられます。

畜産業の労働災害事故と「労災隠し」

畜産業を営む会社や個人事業は、規模の小さい牧場等も多く、経営者に遵法精神に欠けるところも見られるのも事実です。
そのようなところでは、業務中の事故にもかかわらず、労災ではないとか、健康保険で治療するようにとか、
違法な対応をするところもあります。
もしも、このような労災隠しにあった場合には、すぐにでも労基署や弁護士に相談してください。
労災隠しをされるままに放置すると、ご自身に重大な不利益が降りかかりかねません。
「労災隠し」への対処方法はこちらをご参照ください。 

以上、畜産業における労働災害について、ご説明をしてきました。
事故に遭ってしまった方は、ご参考にしていただければ幸いです。

労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
ご相談は、電話でもメールでもLINEでも可能で、いずれも無料です。ご相談はこちらです。