牧場で暗い中でのスクーターからの転倒、肩関節脱臼、上腕神経叢麻痺の負傷、当初12級の障害認定が労災審査請求(障害等級不服申立て)で6級が認定された例

事故内容

依頼者(60代男性)は牧場で乳牛の搾乳業務に長年従事していましたが、ある朝、放牧牛を搾乳のための牛舎に追い戻すためにスクーターに乗っていたところ、転倒してしまい、その際に左肩を脱臼する等の負傷をしました。

 

当初の障害等級認定

依頼者は、左肩の受傷後、左上腕・前腕・手指が動かなくなってしまいました。他人の力で左腕を動かすことはできますが(他動運動可)、自力では動かせなくなってしまったのです(自動運動不可)。その原因は神経の損傷でした。

依頼者は、約1年間に渡って治療を続けましたが、症状固定となり、障害申請をしたところ、管轄労基署は自動運動不可では障害等級を認めず、他動運動も不可であった肩関節の可動域制限のみを認め、等級12級の6を認定しました。

 

依頼の経緯

依頼者は労基署の12級の認定に納得がいかず、また、今後の勤務先への損害賠償請求も含めて、当事務所にご相談、ご依頼をされました。

 

弁護活動:不服申立て、原処分取消し

労災保険の障害等級認定に不服申立て(労災審査請求)をするには、処分(障害等級認定の通知)があってから3か月以内にしなければなりません。

依頼者が相談に来た時点で、障害等級認定通知からもうすぐ2か月が経つころでしたので、大急ぎで各種の資料取得作業を行い(資料取得は未了でしたが)、期限前に労働局宛に不服申立てを行いました。

その後に資料を収集、整理し、当方の主張を裏付ける各種証拠等も提出の上、労働局での審理に臨みました。当方の主張は、神経損傷による自動運動不可なのであるから、自動運動に基づいた可動域制限を前提とした障害等級認定を行わなければならないというものでした。

審査請求手続では審査官が審査請求人(依頼者)と面接し、事情聴取が行われます。依頼者の代理人である私(弁護士)も依頼者と共に面談に臨みました。

 

結果

審査請求では、結論が出るまで相当長期間を要します。本件でも申立てから結果が出るまでに約9か月かかりました。

もっとも、結果は上首尾で、「原処分を取り消す」となり、より上位の障害等級(6級)が認められました。

6級認定となったことで、労災保険からは一時金ではなく、年金(生涯に渡って支給される)が支給されることになりました。

また、その後の勤務先に対する損害賠償請求額も格段に変わることになりました。

 

6級の障害等級となったため、その後、依頼者は会社に対して、損害賠償請求を行うことになりました。

本件の損害賠償請求の解決事例へ

労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
ご相談は、電話でもメールでもLINEでも可能で、いずれも無料です。ご相談はこちらです。

関連記事

「60代」の解決事例

「6級」の解決事例

「労災保険審査請求」の解決事例

「後遺障害認定後」の解決事例