障害者施設で入所者からの暴力を受けて負傷、労災審査請求(障害等級不服申立て)で12級の認定を得て、会社への訴訟で1000万円強の賠償金を得た例

事故内容

依頼者(30代女性)は障害者生活施設で生活支援員として勤務していましたが、些細なことで不穏になった暴力的傾向のある入所者から、叩く、引っ掻く、切り付ける、咬みつくなどの激しい暴力を受けてしまい、顔、頭、腕、手などを負傷しました。

中でも咬みつかれた手指の怪我がもっとも重く、神経損傷のために痛み、しびれなどの後遺障害が残ってしまいました。

 

依頼の経緯

入所者の暴力行為は明らかに依頼者への不法行為であり、暴力的傾向のある入所者を世話する従業員への安全対策も不十分で、勤務先(社会福祉法人)の責任があると思われるのに、事故後、勤務先は依頼者が悪いかのような態度を取り続けており、依頼者は勤務先に対する不信感を抱いており、今後の損害賠償の点なども含めて、当事務所にご相談、ご依頼をされました。

 

当初の障害等級認定と不服申立て、原処分取消し

当初、依頼者は労基署から、手指の神経症状について14級の9の認定を受けていましたが、これに不服申立て(労災審査請求)をしたところ、首尾よく、より上位の神経症状(12級の12)が認定されました。

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会社への賠償請求

12級の障害等級となったため、その後、勤務先に対して、損害賠償請求を行いました。損害賠償の内容は、通院慰謝料、休業損害、後遺障害による逸失利益、後遺障害慰謝料等です。

勤務先の責任としては、暴力などの危険な傾向を持つ入所者であることをわかっていながら、生活支援員一人で、当該暴力行為入所者を含めた多数の入所者の世話をする勤務体制にしていたことが、雇用主としての安全配慮義務に違反しているということです。

そうしたところ、勤務先にも代理人弁護士がつき、交渉となりましたが、勤務先は入社の暴力やそれに対する勤務先の責任自体は認めるものの、損害額を大幅に低く主張して争うとともに、依頼者にも過失があったとして過失相殺の主張をしてきました。

入所者の突発的な暴力による被害なのに自分にも過失があるなどというのは、依頼者には到底受け入れられず、紛争が長期化するのは本意ではありませんでしたが、交渉は決裂し、やむを得ず裁判所への訴訟提起を行いました。

訴訟となったら、勤務先は責任を負うこと自体をかなり争ってきましたが、双方の主張・立証の結果、裁判所からは当方の全面勝訴といってよい和解案が示されました。勤務先の責任を認めることはもちろん、依頼者の過失は一切ないという内容でした。

勤務先も裁判所和解案を受け入れたため、和解成立となりました。

 

結果

これまでの労災保険からの給付(約150万円)とは別に勤務先が1000万円強を支払うという形で和解となりました。

当方にとっては、全面勝訴といってよい内容であり大変満足いく結果となりました。

損害額については、本件の場合、勤務先への損害賠償請求の前に、審査請求(不服申立て)によって、上位の障害等級(12級)を勝ち取ったことが最大のポイントでした。14級と12級では、賠償額に2~3倍以上の差が出ることが多いのです。

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