障害者施設で入所者からの暴力を受けて負傷、当初14級の障害認定が労災審査請求(障害等級不服申立て)で12級が認定された例

事故内容

依頼者(30代女性)は障害者生活施設で生活支援員として勤務していましたが、些細なことで不穏になった暴力的傾向のある入所者から、叩く、引っ掻く、切り付ける、咬みつくなどの激しい暴力を受けてしまい、顔、頭、腕、手などを負傷しました。

中でも咬みつかれた手指の怪我がもっとも重く、神経損傷のために痛み、しびれなどの後遺障害が残ってしまいました。

 

依頼の経緯

入所者の暴力行為は明らかに依頼者への不法行為であり、暴力的傾向のある入所者を世話する従業員への安全対策も不十分で、勤務先(社会福祉法人)の責任があると思われるのに、事故後、勤務先は依頼者が悪いかのような態度を取り続けており、依頼者は勤務先に対する不信感を抱いており、今後の損害賠償の点なども含めて、当事務所にご相談、ご依頼をされました。

 

当初の障害等級認定と不服申立て、原処分取消し

当事務所への依頼前に、依頼者は労基署から、手指の神経症状について14級の9に該当するとの認定を受けていました。

しかし、依頼者の痛みなどの症状は、もっと上位の神経症状(12級の12)にあたるのではないかと思われたことから、依頼者と協議の上、労働局(労基署の所属する行政庁)に審査請求(不服申立てのこと)をすることにしました。

不服申立てに際しては、原処分(管轄労基署の下した処分)の詳細理由等が記載された資料等を「保有個人情報開示請求」により取得し、治療した病院のカルテ等も取り付けて、これをよく検討して、医学的観点から依頼者の神経症状の存在と原因が証明されていることを主張・立証し、かつ依頼者の症状の詳細や労務や生活への影響についても詳細な主張・立証をしました。

審査請求手続では審査官が審査請求人(依頼者)と面接し、事情聴取が行われます。依頼者の代理人である私(弁護士)も依頼者と共に面談に臨みました。

面談後も審査官から補充の聞き取り、回答書の提出などをして、審査結果を待ちました。

 

結果

審査請求では、結論が出るまで相当長期間を要します。本件でも申立てから結果が出るまでに6か月以上かかりました。

結果は素晴らしく、「原処分を取り消す」として、より上位の障害等級(12級の12)が認められました。

上位の障害等級となるかどうかで、労災保険からの障害給付額が増額するかどうかの違いもありますが(14級では56日分、12級では156日分)、何よりもその後の勤務先に対する損害賠償請求額が格段に変わります。2~3倍以上の差が出ることが多いのです。

12級の障害等級となったため、その後、依頼者は勤務先に対して、損害賠償請求を行うことになりました。

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