建築現場でエンジンカッター使用の騒音で難聴(片耳)となり、障害10級の認定、約2400万円の賠償金を得た例

事故内容

依頼者(40代男性)は、建築現場でエンジンカッター作業に従事しましたが、勤務先会社が何の防音保護具もさせずに長時間の作業をさせたため、片耳が難聴になってしまいました。

また、耳の不調を感じた依頼者が仕事を休んで病院に行かせてほしいと頼んでも、会社は忙しいという理由で休むことを許さず、本来必要であった治療が受けられなかったこともあって、依頼者の難聴はもはや治らないものとなってしまい、結果、片耳の聴力が大幅に低下してしまい、後に労基署から「1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの」として、障害等級10級の認定を受けました。

 

依頼の経緯

勤務先会社の対応が非常に不誠実でした。労災事故とも認めない、治療のために会社を休むことも許さない、という無茶苦茶なものでしたので、依頼者も当初は我慢していたものの、治らない耳に不安を感じ、会社に対する不審を募らせ、当事務所にご相談、ご依頼をされました。

 

弁護活動1 労災申請サポート

そもそも、依頼者の難聴事故は労災事故としての届出もなされていなかったので、管轄労基署に相談、申請を行うことから始めなければなりませんでした。

依頼者に労基署に相談に行ってもらい、病院にも行って労災扱いでの診察を受けてもらいました。病院では、既に治る見込みのない状態であるとのことで、障害診断書を作成してもらうことになりました。

同時並行で、当事務所から勤務先会社に対しては、労災申請に協力するよう依頼をしていましたが、勤務先会社は難聴になるような事故などなかったと一切認めませんでした。(予想された反応ではありました。)

そこで、労基署には、勤務先会社は申請に協力しないものの、労災事故であることは間違いがないと申請をし、労基署にて事故調査(業務上外調査といいます)を行うことになりました。

労基署の調査は、関係者への聴取やエンジンカッター騒音の実験などが行われ、時間もかかりましたが、無事に業務上の事故であったと労災認定がなされ、また障害等級10級の認定もなされました。

これにより、依頼者は労災保険から約300万円の保険金を受けることができました。

 

弁護活動2 損害賠償請求

労災認定を受けて、今度は勤務先会社に対する損害賠償請求を行いました。損害賠償の内容は、治療費、通院慰謝料、後遺障害による逸失利益、後遺障害慰謝料等です。

業務中の事故であったと労災認定は出ていましたが、それでも勤務先会社は事故があったという事実を一切否定し、また会社には何の落ち度もなかったと強硬に主張し、交渉には一切応じない姿勢でした。

そのため、当方は勤務先会社に対する損害賠償請求訴訟を裁判所に提起しました。

訴訟でも、勤務先会社は頑強に独自の主張を続け、あらゆる点を争ってきました。

訴訟経過中も、立証状況等を踏まえて裁判所は勤務先会社に対して、賠償金支払いの和解に応じるよう何度も打診していましたが、勤務先会社の一切拒否の態度は変わらず、本人尋問・証人尋問を経て、最終的に判決が下されました。判決は、当然といえば当然ですが、当方の完勝の内容でした。

しかし、一審(地方裁判所)の判決に対して、勤務先会社は控訴(不服申立て)をしたため、審理は二審(高等裁判所)にもつれこみました。

とはいえ、二審も勤務先会社の主張は一切認めず、控訴棄却(一審判決の変更なし)の判決を下しました。

そのため、ついに勤務先会社から賠償金が支払われ、ようやく解決するに至りました。

 

結果

最終結果として、労災保険等給付(約300万円)の他に、依頼者は勤務先会社から約2400万円の賠償金を得ました。判決に従った支払額なので、事故発生時からの遅延損害金をすべて含めた金額が支払われました。

極めて強硬で頑固な対応の勤務先会社であったため、非常に時間がかかりましたが、依頼者に対する責任を完全に認めさせることができ、依頼者にとって大変良い結果となりました。

労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
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