建築現場での足場組立作業中、落下してきた足場板が頭部を直撃し負傷、障害3級の認定、約1500万円の賠償金を得た例

事故内容

依頼者(30代男性)は、建築現場で足場の組立作業に従事し、具体的には地上で足場材を荷上げする担当をしていましたが、上方で他従業員が足場板を取り込む際に落下し、地上にいた依頼者の頭部を直撃する労災事故に遭いました。

依頼者は重篤な傷害を受け、長期間の入通院治療を受けましたが、脳やせき髄の損傷で、身体の麻痺や高次脳機能障害、てんかん、視力・視野等の障害が残り、全体を総合して障害等級3級という認定を労基署から受けました。

依頼の経緯

事故が重大であり、勤務先会社には法令違反もあったため、立件され罰金刑も受けていました。法令違反の内容は、立入禁止区域を設定する等して、物体の落下による危険の防止する措置をとらなかったことでした(労働安全衛生規則537条違反)

しかし、勤務先や元請会社から依頼者に対して何らかの補償申出があることはなく、治療中の段階でこの先に不安を抱いた依頼者やご家族は、当事務所にご相談、ご依頼をされました。

弁護活動

依頼者の治療は約3年間に及び、その後、労基署から障害3級の認定を受けることができましたが、その間、当事務所は依頼者との連絡を密に取り、適切な等級認定がなされるためのサポートをしてきました。

幸い3級という高い等級が認定されましたので、依頼者は以後、労災障害補償年金を受けることができ、国民厚生年金も受給できることになっていました。

等級認定後、勤務先や元請会社に対して、損害賠償請求を行いました。損害賠償の内容は、休業損害、通院慰謝料、後遺障害による逸失利益、後遺障害慰謝料等です。

勤務先のみならず元請会社も加えたのは、勤務先は個人事業主であり支払能力に不安があることに加え、元請会社も現場監督を常置しており、法律上の責任を負うと考えられたことによります。

そうしたところ、勤務先にも元請会社にもそれぞれ代理人弁護士がつき、交渉となりましたが、勤務先は「支払う金がない」元請会社は「法律上の責任を負うことを一切認めない」という対応であり、任意交渉解決は不可能でした。

そのため、当方は勤務先と元請会社を被告として、損害賠償請求訴訟を裁判所に提起しました。

訴訟では、主に元請会社が、責任を負うこと自体を激しく争い、また依頼者の障害等級など損害についても激しく争いました。さらに、仮に責任があるとしても、依頼者にも重大な責任があると過失相殺の主張もしてきました。

争点も多く、治療経過も複雑だったので、訴訟も1年半以上に及びましたが、最終的には訴訟上の和解解決に至りました。

依頼者としては、かなり高い割合の過失相殺をされてしまったことに不満はありましたが、元請会社の責任も認められ、一定の支払を受けることができました。

結果

最終結果として、これまでの労災保険等給付(約1500万円)の他に、依頼者は元請会社と勤務先から約1500万円の賠償金を得ました。

今後も労災年金などの給付は継続することもあり、依頼者にとっては悪くない結果となりました。

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