食品加工機に手を巻き込まれる事故に遭って手を切断せざるを得ず、後遺障害5級の認定、約2300万円の賠償金を得た例
事故内容
依頼者(20代女性)は食品加工工場に勤務し、食品加工機を用いた作業をしていましたが、手を機械に巻き込まれる事故に遭ってしまい、片手を切断せざるを得ませんでした。
労災保険では、依頼者の障害について、「1上肢を手関節以上で失ったもの」として、障害等級第5級の2の認定を受けました。
依頼の経緯
事故の際の機械の刃回転部には、手などが触れないように既製の安全カバーが付いていたのですが、女性や子どもなど小さな手であれば、カバーの内側に手が入ってしまう構造でした。
また、当然ながら、作業方法として、手をカバー内側に入れることは想定されておらず、投入材料が詰まった際には棒で押し込む作業方法が指示されていました。
しかし、事故の際は(依頼者もなぜそうしてしまったのか自分でも明確にはわからないものの)多忙さや注意散漫状態であったのか、ふっと手を入れて詰まりを取り除こうとしてしまったのでした。
このような事故態様からすると、事故に遭った依頼者にも過失があることは否定しがたいのですが、そもそも安全カバーの形態・形状が不十分であったことや、教育方法の不十分さを指摘できると思われました。依頼者はこの業務について経験が浅く、そうであれば会社としてもより作業指示、安全指示を徹底すべきではなかったかということです。
事故後、会社としては、事故は依頼者のミスであり、会社に特に責任はないという対応であったことから、依頼者は当事務所にご相談、ご依頼をされました。
弁護活動
当方から会社に対し、機械の安全カバーの不十分性や安全教育の不備等を指摘して、依頼者の被った損害の賠償を求める通知をしました。そうしたところ、会社にも代理人弁護士がつき、交渉となりました。
争点は、会社の責任の有無、(会社の責任があったとして)依頼者の過失の程度(割合)、損害額でした。
会社は、自身に責任があることを認めませんでしたが、この点は非常に微妙で裁判となった場合には責任が肯定される可能性もそれなりにあること、責任が肯定されても依頼者の過失による減額(過失相殺)はほぼ確実に見込まれること等から、なんとか任意交渉で折り合いをつけることができました。
具体的には、依頼者の過失を6割程度とする内容で合意することができました。
結果
労災保険年金、国民厚生障害年金からの給付(約650万円)や会社が契約していた保険からの給付金(約600万円)とは別に、依頼者は会社から約2300万円の解決金を得ました。
会社の責任の有無や過失相殺が非常に微妙であった件であるので、早期に一定の解決金を得られた結果はよかったと思われます。さらに、訴訟となれば、少なくとも1年間程度の期間を要すると見込まれましたので、その間の物心両面での負担を考えると、依頼者にとっては、非常によい結果となったと思われます。
労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
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