一人親方大工が新築家屋から転落する事故に遭い脊髄損傷、労災保険の適用はなかったものの、請負会社から数千万円の賠償金を得た例

事故内容

依頼者(70代男性)は長年一人親方の大工として稼働していましたが、新築家屋建築中に約3mの高さから転落してしまい、頚椎や胸椎、肋骨の骨折など重篤なケガをしました。救急搬送され入院治療を受けましたが、最終的に脊髄損傷で下肢完全麻痺の後遺障害が残ってしまいました。

依頼者は、一人親方であり、所属建築会社に雇用されているわけではなかったので、労災保険に入っておらず、かつ一人親方の労災保険特別加入制度にも入っていなかった(任意加入制度です)ので、労災保険の適用は全くありませんでした。ですから、治療費や休業補償もなく、事故後はご家族(お子様ら)が非常に困った状況となってしまっていました。

後遺障害の認定は、労災保険の基準では明らかに障害等級1級ですが、労災保険の適用がそもそもないので、労災保険からの障害年金もありませんでした。

依頼の経緯

依頼者の事故の根本的な原因は、高所作業にもかかわらず安全帯を着用していなかったことにあり、その点には依頼者自身の落度もありますが、請負会社(ハウスメーカーである元請と下請の2社)が親綱を張るなどして安全帯を着用するよう指導していなかったことにも責任があると思われました。

依頼者のお子様らは、何の補償もない状況に困り果て、当事務所にご相談、ご依頼をされました。

弁護活動

依頼者は元々かなりの高齢だったこともありますが、事故により非常に重篤な障害を負ってしまったこともあり、精神的にも認知症が少々入ってしまったような状態となってしまっており、事故状況の把握もなかなか難しい状況にありました。

また、労基署で労災事故として取り扱われてもいませんので、労災事故であれば存在する事故報告書類もなく、事故状況(それが請負会社の責任を示す基礎となります)の把握は困難を極めました。

しかし、何とか方々の手を尽くし、請負会社に責任がありそうだとの感触が得られましたので、元請と下請の2社に対し、後遺障害1級を前提とした損害賠償の請求をしました。

そうしたところ、元請も下請も、最大の責任原因である安全帯の着用をさせていなかったこと自体は認めるものの、自社には責任がない(元請は「下請の責任」と言い、下請は「元請の責任」と言う)と賠償を拒否しました。

そこで、裁判所への訴訟提起となりました。

訴訟提起後は、会社の責任が争われるのみならず、医療記録等から依頼者の入院中に容体が急変し、そのことが脊髄損傷に繋がった事実が判明し、脊髄損傷の後遺障害と事故との因果関係が激しく争われるなどの紆余曲折もありました。

しかし、最終的には当方の主張・立証が奏功し、裁判所は元請や下請の責任を認め、後遺障害1級を前提とした裁判所和解案を提示するに至りました。ただし、依頼者が熟練の大工でありながら安全帯を着用しなかった点や転落経過について依頼者の過失を認めて過失相殺6割とする内容でした。

双方とも裁判所和解案を受け入れて和解成立となりました。

結果

依頼者は元請及び下請から合計約3600万円の賠償金を得ることができました。

これで依頼者の今後の生活費や療養費への手当てがつき、依頼者やご家族には大変よい解決になりました。

本件は、そもそも労災保険の適用がなく金銭的補償もないという困難や、労災事故として扱われていないゆえに事故状況の把握も難しい状況でありましたが、様々な工夫や諸手段の実施により何とか上手い解決が実現できた事案でした。

 

労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
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