職場での重大事故により身体的負傷のみならず、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、非器質性精神障害で後遺障害9級の認定、約2500万円の賠償金を得た例

事故内容

依頼者(20代男性)は温浴施設に勤務していましたが、地下ポンプ室での配管作業中に、外注業者が安全工程を守らず危険な方法で作業を行ったため、依頼者は熱水の噴射を受け、全身に熱傷等の怪我をする労災事故被害に遭いました。

身体的負傷は1年弱で症状固定しましたが、事故時の恐怖感(数十秒間にも渡って熱水の噴射を受け、あやうく死ぬかもしれない重大事故に遭った)から生じた精神的不調は長く続きました。後に重度の心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されました。

依頼の経緯

事故から約1年8か月経過したころ、依頼者は、今後のことを考えて当事務所にご相談をされました。

当時、既に身体面の治療は終わっていましたが、精神面の回復はほとんどないようで、心療内科に通院しているとのことでした。しかし、通院していた心療内科は労災扱いではなく私病扱いで通院しているとのことであり、治療内容もあまり合っていないようでした。

弁護活動1

依頼者のお話を伺い、現在の精神面の不調は労災事故と因果関係があると思われました。そのため、労災扱いで治療を受けるべきこと、それと現在の病院が合わないのであれば、変えてみるのもよいことをお伝えし、当事務所の業務経験上、評判のよい精神科・心療内科を知っていましたので、そちらへの受診をお勧めしました。

次に、依頼者が相談にいらした際、お勧めした病院が非常によかったそうで、労災申請書類の作成もしてもらえるとのことでした。

そこで、当事務所の方で、事故時の勤務先(既に退職済み)にお願いして、労災関係書類の写し等を送っていただき、今般申請する労災関係書類にも記名押印をいただきました。なお、依頼者の労災事故に関して第一次的に責任があるのは外注業者であり、同業者は賠償責任保険にも入っているとのことであったので、依頼者としては当時の勤務先会社に対する損害賠償請求は考えていませんでした。

その後、依頼者には、治療を続けていただき、状況に応じてご連絡をいただくことにしていました。

弁護活動2

当事務所にご相談してから半年以上が経ったころ(事故から2年超)、現在の主治医から症状固定の診断を受けたとの連絡が依頼者からありました。

そこで、診断書などの必要書類を用意して、労基署に障害申請を行いました。

結果が出るまで、かなり長くかかりましたが、依頼者は精神症状で9級、身体症状(火傷痕)で14級の認定を受けました。9級というのは、非器質性精神障害の等級(9級、12級、14級)のうち、もっとも重い等級であり、それだけ依頼者の症状は重かったということです。

等級も確定したので、外注業者に損害賠償請求を行いました。外注業者の従業員による加害事故ですから、その業者(会社)は使用者としての責任(民法715条)があります。損害賠償の内容は、通院慰謝料、休業損害、後遺障害による逸失利益、後遺障害慰謝料等です。

そうしたところ、業者にも代理人弁護士がつき、金額をめぐっての交渉となりました。

特に後遺障害による逸失利益(労働能力喪失期間)が争われましたが、最終的には任意和解による解決とすることができました。

結果

これまでの労災保険からの給付(休業補償、障害補償で約600万円)とは別に業者が約2500万円を支払うという形で和解となりました。

障害等級が重かったこともあり、相当に高額な和解とすることができ、依頼者にとって良い解決となったと思われます。

また、精神疾患の場合には、責任のあるところに適切に責任を取ってもらったという形で、被災者に及ぼす納得感はとても大きいものがあります。この件の依頼者にとっても、まさにそうでした。

 

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