障害者施設で入所者からの暴力被害で左手母指を骨折、10級の認定を得て、入所害(契約の保険会社)から約1300万円の賠償金を得た例
事故内容
依頼者(50代女性)は障害者生活施設で生活支援員として勤務していましたが、早朝に予定していなかった外出をしようとした入所者を引き留めようとしていました。
しかし、入所者は不穏状態となってしまい、無理矢理に突破しようと依頼者に倒れ掛かるように体重をかけてきたため、依頼者の左手母指が反り返り、骨折してしまいました。
依頼者は治療を続けましたが、左手母指の可動域制限が残ってしまい、「1手の母指又は母指以外の2の手指の用を廃したもの」として、労基署から10級の障害等級の認定を受けました。
依頼の経緯
依頼者の事故は労災として扱われてはいましたが、加害入所者はもちろん、施設からも誰からも補償や賠償の申し出はありませんでした。
そのため、依頼者は腑に落ちない思いを抱えつつ、当事務所に相談、依頼をされました。
弁護活動1 労災申請サポート
ご依頼をいただいた当時、依頼者はまだ治療中だったので、治療終了(症状固定)まで待ち、その段階で残った障害を労基署に申請し、障害等級の調査・認定をしてもらいました。
労基署への障害申請に際しては、当事務所の方で、主治医に作成していただいた障害診断書の内容をチェックしたり、諸々のサポートを行いました。
結果、無事に10級という相当に重い等級が認定されました。
弁護活動2 損害賠償請求
入所者の行為は、依頼者への不法行為(民法709条)ですが、通常、入所障害者の方には責任能力がない(そのため賠償責任を負わない)、賠償できる資力がない(そのため責任ありとされても現実的に支払えない)、というのが普通です。
しかし、この件では、加害入所者の方は日常生活賠償を含む保険に入っており、そのため、本件の事故について、入所者が負う賠償責任の負担を保険会社が負うという形とできることがわかりました。
そこで、保険会社に対して、損害賠償請求をしたところ、保険会社は事故態様や状況について、調査会社を入れて聞き取り調査を進めました。
もっとも、保険会社は、施設など他にも責任を負い得るところはあるので…というよくわからない理由で、当方からの賠償請求を拒みました。
そのため、当方は加害入所者に対する損害賠償請求訴訟を裁判所に提起しました。(訴訟となっても実質的に対応するのは保険会社です。)
訴訟では、保険会社は障害者の特性上、不穏になることもあるので、生活支援員であった依頼者にも大きな過失があると、過失相殺の主張をしていました。
最終的には、裁判所から心証に基づく和解案の提示があり、双方ともそれを受け入れて、裁判上の和解が成立しました。
結果
依頼者は、それまでの労災保険からの給付(約300万円)とは別に約1300万円の賠償金を得ました。
負ってしまった障害に相応する賠償が得られ、依頼者にとって大変良い結果となりました。
労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
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