昼夜連勤を含む長時間運転(労働)のため、くも膜下出血を発症し、高次脳機能障害、半身麻痺で障害等級2級の認定、会社から賠償金を得た例
事故内容
依頼者(50代男性)は、ダンプの運転手として長年勤務していましたが、ちょうど勤務先会社に転職したところ、勤務先会社では人手不足で、所属運転手に過度の長時間労働を強いていました。
1か月あたりの残業時間が百数十時間に達しており、しかも、昼夜連勤の勤務も伴っていたこともあって、依頼者はくも膜下出血を発症してしまいました。
幸い、依頼者は一命を取り留めましたが、数年間にも渡る入通院治療をしなければならず、しかも脳に重い障害を残してしまいました。具体的には、高次脳機能障害(記憶や注意、言語、感情など脳の機能に生じる障害)と脳損傷由来の身体の経度麻痺です。
これらの障害について、依頼者は2級の障害等級認定を労基署から受けました。
依頼の経緯
依頼者や依頼者の妻は、事故後の比較的早い段階で、今後の労災保険からの補償や勤務先会社への賠償に不安を感じ、当事務所にご相談をされました。
治療には長くかかることが予想されたので、今後も状況に応じて継続的な相談が可能な「継続相談プラン」をご希望になり、その後も当事務所は継続的にフォローしていました。
なお、事故後に勤務先会社との雇用契約期間は切れており、勤務先会社からは特に何の補償申し出もない状況でした。
その後、長い治療期間を終え、労基署による障害認定(2級)もなされたので、その先の勤務先会社への損害賠償請求について、正式にご依頼をいただきました。
弁護活動
依頼を受けた後、当方では損害賠償額の積算をするための各種資料を労基署(労働局)や厚生労働省から取り付け、それら取付書類も踏まえて、会社に対する損害賠償請求をしました。
損害賠償請求の理由は、勤務先会社には安全配慮義務違反があるということです。
つまり、勤務先会社(使用者)は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務(安全配慮義務)を負っており、この義務に違反した結果、労働者に過重労働による脳疾患(くも膜下出血など)が発症したのであれば、会社は損害賠償責任を負うのです。
このあたりについて詳しくは当サイト内の「脳・心臓疾患になった方やご家族へ」の記事をご参照いただければと思います。
当方からの請求を受けた勤務先会社は、代理人弁護士を立てて交渉に臨んできました。
会社側は責任を認めると明言はしないものの、早期の解決のために金銭支払に応じるというものでした。
長時間労働等による脳疾患を発症して、労災認定を受けている場合、会社の方で責任を否定するのは、相当に難しいのが実情で、それゆえに会社側も金銭支払義務を認めて早期の幕引きを図りたかったものと思われます。
ただ、勤務先会社はあまり大きな会社ではなく、依頼者の障害は重く賠償請求金額は巨額に上っていたので、会社が賠償金を負担できるか(払えるか)は当方にとっても不安なところでした。
案の定、やはり勤務先会社は、巨額の賠償金を支払う経営状況ではないという言い分でした。
この点について、依頼者とよくよく協議した結果、本来あるべき賠償金額からは大幅に譲歩しても、一定の金額を得る方が得策との結論に至り、可能な限りの増額を得ることを目標に会社側と交渉しました(示談交渉)。
結果、当初勤務先会社が提示してきた金額からは2倍以上に増額した金額での任意和解(示談)に至りました。
勤務先会社は借入を行い、和解金を賄うとのことでした。
結果
依頼者は、それまでの労災保険給付(約2000万円)の他に、会社から約4000万円の支払を受けることができました。
また、依頼者は2級の障害等級認定を受けていますので、今後も労災年金を継続的に受給することができます。
会社の支払能力など法律論だけではない現実的事情を考慮した結果ですが、一定の高額の和解金を得ることができた早期解決となり、良い解決になったと思われます。
労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
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