高所作業車の点検作業中に身体が高圧電線に接触する事故、障害6級の認定、約3000万円の賠償金を得た例

事故内容

依頼者(40代男性)は、高圧電線がある真下高所作業車の点検作業をしていたところ、不意にアームが伸びてしまい、身体が高圧電線に接触する労災事故に遭いました。

依頼者は重度の熱傷(やけど)を負い、生命の危機さえあった重篤な傷害を負いました。幸いにも一命は取り留めましたが、外貌の醜状(やけど痕)や関節の機能障害(可動域制限)、神経症状(痛み等)の後遺障害を負い、労基署から6級の障害等級の認定を受けました。

 

依頼の経緯

依頼者は、労災事故時、入社して1か月も経っていない新人で、しかも高所作業車の運転操作に必要な資格(技能講習)を受けていませんでした。それなのに、単独で高所作業車の点検作業(アームの前後左右動作、伸縮動作等の確認作業等)に従事させられていたのです。この点は法令違反であり、労基署からも会社に指導がなされていました。

このように依頼者の労災事故には、会社の責任があると思われましたが、勤務先会社からは多少の見舞金が払われただけで、十分に誠意ある対応がなされていませんでした。

そのため、依頼者は不信感を抱き、当事務所にご相談、ご依頼をされました。

 

弁護活動

勤務先会社に対して、事故の原因は安全配慮義務違反によるとして損害賠償請求を行いました。具体的には、無資格者に高所作業車の操作をさせた点、高圧電線の真下で作業をさせた点、絶縁用保護具を着用させていなかった点、安全教育が不十分であった点などが安全配慮義務違反です。損害賠償の内容は、休業損害、通院慰謝料、後遺障害による逸失利益、後遺障害慰謝料等です。

そうしたところ、勤務先会社に代理人弁護士がつき、交渉となりました。

勤務先会社は、責任自体は否定しないものの、依頼者の不適切な操作により事故が起きたとして、依頼者にも70%など大幅な過失があると主張し、この点の隔たりが大きく、交渉は決裂しました。

そのため、当方は勤務先を被告として、損害賠償請求訴訟を裁判所に提起しました。

訴訟では、勤務先会社は、点検作業は有資格者でなくても行ってよい業務であるとして、責任を負うこと自体を激しく争ってきました。また、過失相殺の主張も熱心に主張していました。

高所作業車の構造、動作の仕組み、事故態様など複雑な点も多かったため、訴訟は1年以上にも及びましたが、最終的には裁判所が和解案を示し、双方ともそれを受け入れて無事に訴訟和解解決となりました。

裁判所が心証に基づいて示した和解案は、勤務先会社の責任を完全に認めるもので、ほぼ当方の完勝といえる内容でした。

 

結果

最終結果として、それまでの労災保険給付(約400万円)や勤務先会社からの一部支払金(約300万円)の他に、依頼者は勤務先会社から約3000万円の賠償金を得ました。

時間はかかりましたが、依頼者にとっては大変良い結果となりました。

労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
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