施設床にあった地下階への開口部に転落し脊髄損傷、障害1級の労災認定、勤務先から賠償金を得た例
事故内容
依頼者(50代男性)は、大規模な温浴施設を運営する勤務会社に勤務し始めて約1か月で、事故があった日は休館日で施設内の清掃やメインテナンスの作業が行われていました。
地下にある温浴槽の清掃等のために、開口部を開けたままにされていたのですが、そこに穴があることを知らなかった依頼者は地下へ転落してしまいました。
約5m下へ転落した依頼者は、一命は取り留めたものの、脊髄損傷の重傷を負ってしまいました。
依頼者は、長い入院治療を続けましたが、脊髄(頚髄)損傷のために四肢麻痺の非常に重い障害が残り、これについて労基署から障害等級1級の認定を受けました。
依頼の経緯
依頼者や依頼者の妻は、事故後の比較的早い段階で、今後の労災保険からの補償や勤務先会社からの賠償に不安を感じ、当事務所にご相談、ご依頼をされました。
治療には長くかかることが予想されたので、当事務所は状況に応じて継続的にフォローしていました。
その後、長い治療期間を終え、労基署による障害等級認定(1級)がなさました。
弁護活動
事故の原因は、勤務先が「開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等…を設けなければならない。」(労働安全衛生規則519条)という規制に反して、何の危険防止措置を講じていなかったことにありました。
そもそも、勤務先は、物理的な危険防止措置をしていないどころか、開口部を開けていることを従業員に周知していませんでした。
さらには、就職約1か月であった依頼者には、その場所には地下に通じる開口部があることすら伝えていなかったのです。
したがって、勤務先会社の安全配慮義務違反は明白であったので、当方から勤務先に損が賠償請求をしました。
損害賠償の内容は、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害による逸失利益、後遺障害慰謝料、将来介護費用等です。
そうしたところ、常駐先にも勤務先会社にも代理人弁護士がつき、交渉となりました。
勤務先会社は、責任自体は認めていましたが、開口部に気付かずに転落した依頼者の過失が大きいとして8割もの過失相殺を主張してきました。
当方には到底受け入れられるものではなく、交渉は決裂しました。
そのため、当方は裁判所への訴訟提起をしました。
訴訟では、勤務会社は、訴訟前にしていた過失相殺の主張のみならず、事故時の依頼者の作業は、依頼者が会社の指示なく勝手に行ったものだから勤務先会社は責任を負わない、という主張までしてきました。
もちろん、裁判所は、そのようなトンデモ主張など受け入れるはずもなく、過失相殺の主張についても、相当期間の審理の結果、心証を開示した和解案を示し、これは概ね当方主張に沿った内容のものでした。
勤務先会社も当方も裁判所の和解案を受け入れ、訴訟和解が成立しました。
結果
最終結果として、それまでの労災保険給付(3000万円超)の他に、依頼者は勤務先会社から約1憶5000万円の賠償金を得ました。
もちろん、高額の賠償金を得ても、依頼者の障害が治るわけではないのですが、勤務先会社の責任が認められ、今後の生活のための補償金が得られたという意味で、一つの区切りになったことは確かです。
今後の依頼者の生活を少しでも充実させていただければと願います。
労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
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