セパレーターのねじ切り作業中、ゴム手袋がセパレーターの回転に巻き込まれて指を切断負傷、障害11級の認定、約1100万円の賠償金を得た例
事故内容
依頼者(50代女性)は、建設業の会社にパート勤務しており、作業所内でセパレーター(型枠工事に用いられる金物)を加工する作業をしていました。
ある日、上司(会社の前代表者)に命じられて、セパレーターのねじ切り作業(機械を用いて先端にねじ山を作る作業)をしていたところ、ゴム手袋をした手が回転に巻き込まれてしまい、遠心力で人差指が手から引きちぎられて分離してしまうという労災事故にありました。
依頼者は、すぐに救急搬送されましたが、結局、指はつながらず、切断された形となってしまいました。痛みの治療のために治療を続けましたが、最終的に「1手の示指、中指又は環指を失ったもの」として、労基署から11級の障害等級の認定を受けました。
依頼の経緯
事故の原因は、回転に巻き込まれるおそれがあるにもかかわらず、ゴム手袋を着用のまま作業させたことにあると思われました。
また、そもそも、ねじ切り機を用いてねじ切りをするという比較的危ない作業を、週2回のパート従業員にすぎない依頼者にさせ、しかも安全教育もロクにしないままに単独で作業させたことにも原因があると思われました。
このように依頼者の労災事故には、会社の責任があると思われましたが、勤務先会社からは全く何の対応もなかったことから、依頼者は当事務所にご相談、ご依頼をされました。
弁護活動
事故の原因は、作業指示の危険性にあること等を指摘して、会社に対して損害賠償請求を行いました。損害賠償の内容は、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害による逸失利益、後遺障害慰謝料等です。
そうしたところ、会社にも代理人弁護士がつき、交渉となりました。
ところが、会社側は、ねじ切り作業などしていない、依頼者が勝手にやったと言い張って、全く責任を認めませんでした。
なぜ、指示されもしない作業をパート従業員である依頼者が勝手にするのか、極めて疑問であり、会社側の主張はいかにも無理があると思われましたが、作業指示をした当の本人である前代表者がそう言い張っているようで、会社側は対応を改めませんでした。
そのため、当方は裁判所への訴訟提起の上で会社の責任を認めさせることとしました。
訴訟でも、作業指示があったかがメインの争点となりましたが、相当期間の審理を経て、依頼者や前代表者、その他関係者の法廷での尋問も実施されました。
最終的には、判決前に裁判所の心証に基づく和解勧告が出され、それは会社の責任を認める内容で、ほぼ当方の全面勝訴といってよい内容でした。
そこまで来て、会社もようやく責任を認め、裁判所の和解案どおりに訴訟和解が成立しました。
結果
最終的に、それまでの労災保険給付(約200万円)の他に、依頼者は勤務先会社から約1100万円の賠償金を得ました。
会社が頑として責任を認めないという不合理な対応を維持したため、訴訟まで要し、長引いたものの、最終的には、依頼者にとって大変良い結果となりました。
労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
ご相談は、電話でもメールでもLINEでも可能で、いずれも無料です。ご相談はこちらです。