無資格であるにもかかわらずチェーンソーを使用させて立木の伐採作業に従事させられた結果、足が倒木の下敷きになる骨折事故、障害13級の認定、約600万円の賠償金を得た例
事故内容
依頼者(50代男性)は、ダンプトラックの運転手として採用された会社で稼働していましたが、冬季のダンプ作業が少なくなる時期、会社代表者の経営する別会社の作業をするよう指示されて、様々な作業に従事していました。
ある日、代表者は木を切る作業をしてもらうと言い出し、依頼者にチェーンソー作業をするよう命じました。
実はチェーンソー業務に労働者を従事させるには、当該労働者に特別教育を受けさせなければなりません(労働安全衛生法59条3項・労働安全衛生規則36条8項)。しかし、依頼者はそのような特別教育を受けたことはありませんでした。
依頼者は、チェーンソーによる木の伐採のやり方などロクにわからないまま作業した結果、木が倒れてくる方向に足を残したままにしていたため、倒れてきた木の下敷きになってしまい、足を骨折する事故に遭ってしまいました。
依頼者は入通院治療をしましたが、足指の機能障害(可動域制限)、足廃部から指先に泣けての神経症状(痛み等)が残ってしまい、これらについて労基署から13級の障害等級の認定を受けました。
依頼の経緯
労災保険による治療が終わる前に、勤務先会社での稼働を続けるのは身体的に不可能ということで、依頼者は退職していました。その後、治療が終わり、労基署による障害等級認定を受けた後も、会社からは何の補償もありませんでした。
勤務先会社の代表者は依頼者が資格(特別教育の受講)を有しているかどうかを全く構うことなく、漫然とチェーンソー作業を命じており、明らかに本件の労災事故の責任があると思われるところですが、依頼者に対して何の謝罪も補償もしないという実に不誠実な対応でした。
そのため、依頼者は不信感を抱き、当事務所にご相談、ご依頼をされました。
弁護活動
勤務先会社に対して、事故の原因は安全配慮義務違反によるとして損害賠償請求を行いました。
具体的には、無資格者にチェーンソー作業をさせた点、木の伐採方法等についての適切な教育をしなかった点、何の防具(防護服や防護靴など)もさせないで作業させた点が安全配慮義務違反ということです。
損害賠償の内容は、休業損害、通院慰謝料、後遺障害による逸失利益、後遺障害慰謝料等です。
そうしたところ、勤務先会社に代理人弁護士がつき、交渉となりました。
勤務先会社は、責任自体は否定しないものの、依頼者の不適切な操作により事故が起きたとか、他にも様々な理由をつけて損害賠償額を下げる主張をしてきたため、交渉は決裂しました。
そのため、当方は勤務先を被告として、損害賠償請求訴訟を裁判所に提起しました。
訴訟でも、勤務先会社は様々な主張をしましたが、最終的には裁判所から心証に基づく和解案が示されました。
依頼者の木の切り方に多少の過失を認めるもの(過失相殺)でしたが、概ね当方の主張が認められており、当方も勤務先会社も和解案を受け入れて和解成立となりました。
結果
最終結果として、それまでの労災保険給付(約500万円)の他に、依頼者は勤務先会社から約600万円の賠償金を得ました。
時間はかかりましたが、依頼者にとっては良い結果となりました。
労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
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