木材加工工場にて帯のこ盤で製材作業中、軍手が木材に引っ掛かって刃に接触し、指を負傷、障害12級の認定、約1700万円の賠償金を得た例

事故内容

依頼者(20代男性)は、帯のこ盤を使って、木材を薄くカットする作業に従事していましたが、短めの木材を製材する際、軍手が木材に引っ掛かってしまって、手が木材と一緒に進んでしまった結果、刃に指が接触して切れてしまう労災事故に遭いました。

依頼者は、半年以上の間の治療を続けましたが、負傷した指に機能障害(可動域制限)が残ってしまい、これについて労基署から12級の障害等級の認定を受けました。

 

依頼の経緯

依頼者は、労災事故時、入社して2週間しか経っていない新人で、しかも非常に小規模な勤務先では、安全教育、特に帯のこ盤の正しい使用法、安全な使用法を十分に教えていませんでした。入社して早々に依頼者単独での帯のこ盤作業をさせるという不安全な作業指示をしていたのです。

また、木材に引っ掛かりやすい軍手を使用させていたことにも安全上の問題があると思われました。

このように依頼者の労災事故には、会社の責任があると思われましたが、勤務先会社からは全く何の対応もなかったことから、依頼者は当事務所にご相談、ご依頼をされました。

 

弁護活動

事故の原因は勤務先会社の安全教育・指示の不備であること、軍手使用にあること等を指摘して、会社に対して損害賠償請求を行いました。損害賠償の内容は、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害による逸失利益、後遺障害慰謝料等です。

そうしたところ、会社にも代理人弁護士がつき、交渉となりました。

ところが、会社代理人は、当方からの請求に対し、何か月経っても回答をしない、催促すると「いついつまでに回答する」というものの、期限が過ぎても何の連絡もない、という繰り返しで、当方は大変苦慮しました。

しかも、ようやくなされた回答で、依頼者の作業方法に重大な過失があり、9割の過失相殺が妥当だから、請求額の1割相当の解決金での示談を提案するというものでした。

当方には到底受け入れられない提案であり、相手の交渉態度からしても、躊躇せずに訴訟提起とする方針としました。

訴訟では、勤務先会社は、十分な安全教育をしていたとか、依頼者が勝手に危険な作業方法で行った結果、事故が起きたとかの主張をして、責任を負うこと自体を激しく争ってきました。

しかし、当方は緻密な主張・立証を行い、依頼者や工場長、被告代表者などの本人尋問、証人尋問もきっちりと行い、万全の立証活動を展開しました。

結果、判決ならばこうなるという裁判所の心証に基づいた和解勧告がなされました。勤務先会社の責任を完全に認めるもので、当方の完勝といえる内容でした。

双方とも裁判所からの和解勧告を受け入れ、無事に訴訟和解で解決となりました。

 

結果

最終的に、それまでの労災保険給付(約200万円)の他に、依頼者は勤務先会社から約1700万円の賠償金を得ました。

依頼者にとっては、大変良い結果となりました。

労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
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